2010年横浜ベイスターズの展望

ドラフト前、新監督の決定前ではありますが、来季の展望でも書いてみます。
あと、できれば前回の2009年横浜ベイスターズ総括も見てください。

まずは総合的な反省から

2009年、これだけ負けた理由

  1. 投手陣崩壊、序盤で試合を壊す先発、逆転負けしてしまう抑え
  2. 相川流出、迷走する正捕手争い
  3. 主力選手の故障
  4. 助っ人外国人全滅(途中加入のランドルフ除く)
  5. 固定できない1、2番
  6. 足を使えない
  7. エラーを含めたつまらないミスが多い

正捕手の相川の抜けた穴は想像以上に大きかった。そのせいで投手陣の防御率も確実に悪化したでしょう。故障者は、開幕から4番村田がいないせいで開幕6連敗を喫してしまったので今年もまたダメか…というムードを作ってしまいました。村田はもう一度ケガをしますし、内川が腸炎で離脱したり、寺原がケガで働けなかったのも誤算。
でも、それ以外の問題点って去年とほとんど同じなんです。毎年のように外国人選手の補強は失敗するし、走れる選手はいないし、まったく失敗に学ばないチームですな。

問題は山積しているため、一気に良くなることは望み薄。ひとつずつ解決していくしかないです。
今のチーム状態で5割勝とうなんて到底無理な話。もちろん、表向きは優勝とかCS進出とか掲げていて欲しいんですが、実際の最低目標は60勝以上、勝率4割以上勝率3割台90敗するようなチームはプロ野球チームとして恥ずかしいです。それだけは避けなければ。

投手陣を立て直すために

まず、今年の開幕時と終盤の主な投手から

2009年開幕時の投手陣

  • 先発ローテーション
    • 三浦、グリン、小林、寺原、工藤※(マストニー)、ウォーランド※
  • 抑え
    • 石井※

2009年終盤の投手陣

  • 中継ぎ
    • 真田、高崎、木塚、松家、高宮※、工藤※
  • 抑え
    • 山口

※がついてるのは左投手

投手陣は最も深刻で最も重要。先発が序盤で試合をぶちこわすことが多く、中継ぎはそこそこだったので、まずは先発をどうにかしたいところ。

  • 三浦、ランドルフは柱。
  • 寺原はケガが完治するかどうか、ちゃんと投げられるかどうかわからないため信用できない(計算に入れない方が無難)
  • 吉見は故障がないのはいいが、勝ち星はあまり期待できない
  • 桑原、藤江、去年活躍した小林あたりのうち誰か1人だけでもローテ投手として回ってくれれば…(願望)
  • 外国人先発投手を2人獲るらしいので、そのどちらかが当たりであることを祈る(せめてウォーランドぐらい)

こんなところでしょうか。あまりにも不確定要素が多すぎて、未知数。今年のスタート時と何も状況は変わらないですね……FAやトレードでも投手を積極的に獲るという話も出ているので、もし先発の柱になるような投手が獲れたらかなり好転しそうですが。

それらを加味して来年の投手陣を推測

2010年開幕時の投手陣(仮想)

  • 先発ローテーション
    • 三浦、ランドルフ※、新外国人投手、吉見※、桑原(または他の若手)、寺原、(山口)
  • 中継ぎ
    • 真田、高崎、木塚、松家、高宮※、加藤康※
  • 抑え
    • 山口(または新外国人投手)

※がついてるのは左投手

この布陣を見ると今年の開幕時より良い要素が、最初からランドルフがいるってこと以外にないですね……
横浜・山口、先発転向も…首脳陣守護神探し着手こんな記事がありまして。
飛ばし記事の可能性もありまだ未定ですが、もし成功したらという仮定で山口が先発になります。横浜の外国人のスカウトの腕を考えると、去年のヒューズみたいなことになりそう。
救援失敗の多かった山口ですが、個人的には先発にしないでそのまま抑えを続けて欲しいです。入団時は先発でしたがここ2年はリリーフですし、ようやくものになりそうな山口を配置転換して成功する保証も無し。もし万が一外国人投手の抑えが成功したとしても、流出したときのダメージが非常に大きい。(クルーンのように)それなら自前で育てた方がずっといいです、山口は素材としては大魔神二世になれる逸材です。

で、肝心の投手陣を立て直す方法ですが、外国人選手、FA、トライアウト、トレードでの選手の補強するのは当然。
しかし、それを毎年失敗してるのが横浜という球団。先発投手はどこも欲しいわけで、ましてや手放すなんてとんでもない。そのためそうそう優秀な選手を獲ることはできません。
それより、横浜のチーム内には潜在能力の高い選手は多いと思うので、育成が上手な優秀な監督(できれば負け犬根性を叩き直すスパルタ)と優秀なコーチ、優秀なスカウト、を獲得してじっくり育てることが中長期的に見て最大の補強になるかと思います。

打線を立て直すために

まず、今年の開幕時と終盤のスタメンから

2009年開幕時のスタメン

  1. 中 松本
  2. 二 仁志
  3. 一 ジョンソン
  4. 左 内川
  5. 右 吉村
  6. 遊 藤田
  7. 捕 野口
  8. 三 山崎

ルーキーのふたりがスタメンというある意味快挙であり非常事態。山崎は開幕戦でいきなり猛打賞を記録しますが、プロの壁にぶつかり二軍暮らし。松本もヒットすら出ず苦しみ二軍に落ちました。野口は途中から二軍に落ちて、上がってきませんでした。仁志とジョンソンは退団。

2009年終盤のスタメン

  1. 中 金城
  2. 二 藤田
  3. 左 内川
  4. 三 村田
  5. 一 佐伯
  6. 右 吉村
  7. 遊 石川
  8. 捕 武山

最後は、ほぼこのスタメンで固定されていました。

課題はやはり1、2番。
1番は、終盤復調気味だった金城になりそうです。しかし、まったく走れない金城では根本的な解決にはならない。藤田は足が速そうなイメージがあるがそうでもない。ということでこのままだと足を使った野球はできません。意外性のある金城は、6、7番あたりで本領を発揮して欲しい。
できればチームトップの盗塁数の石川が1番にするのがベスト。しかし、あんまり成長がみられないんですよね……
来年の打線のキーマンは、石川吉村です。そのふたりについて書いてみます。

石川雄洋について

今シーズンの石川でほめられる所と言ったら、初の規定打席に達したことだけ。
規定打席に達した選手の中で最下位の出塁率.267打率もワースト2位の.242
1番打者として最も求められるのは、ヒットを打たなくてもどんな形でもいいから出塁すること。出塁率最下位じゃいくら足が速くても活かせませんし、1番では使いづらいです。
出塁率の低さの原因は、四球をたった13しか選べてないのに、三振数は8位タイの98個とホームランバッター並な点。つまり石川は選球眼が悪いということです。
ちなみに打率.215しか打てなかったジョンソンですが、選球眼は良く52個(石川の4倍)も四球を選んでいるため出塁率は.330もあります。
シーズン中石川はセーフティバントを何度も試みていましたが、奇襲戦法がそうそう成功するもんじゃないです。(試みることはいいんですけどね)
打撃はダメでしたが、打撃が影響したのか課題の守備もひどいもので、簡単な打球すら暴投、はじく、ファンブルするなどリーグワースト4位の17失策と良いところ無しでした。かといって石川の代わりになるような候補もいないのが実状。(松本はまだまだ)
石川はしっかりボールを見極めて、くさい球はファールで逃げて粘り、四球で出塁できれば変わるんじゃないかと。
FAやトレードで即戦力の走れる選手を獲るなら別ですが、現実的には彼に頑張ってもらうしかないです。出塁さえできれば今年19しかできなかった盗塁数もおのずと増えるでしょう。
経験上、走れない選手が、次の年から突然走れるようになることは滅多にありません。(金城は足は速いのに走塁技術はサッパリとか…)
安打数を増やすのではなく、出塁率を高める事をテーマで石川の成長を望みます。守備が問題なら、守備の上手い藤田をショートにして、石川をセカンドにするというのもいいかもしれません。

吉村裕基について

吉村は、大スランプに陥って、打順をいじられたのもあり最後まで去年の調子を取り戻すことは出来ませんでした。
ケガせずフル出場できたのは良かったですが、三振数が2位(135)で去年と同程度なのにホームランが半減(34→16)。打点もほぼ半減(91→54)。増えたのは盗塁数(9→13)と四球数(30→45)ぐらい。
フォームがダメっぽかったので、良かったときのフォームを思い出してきっちりそこを修正して欲しいところです。なぜシーズン中に修正出来ないのかも謎ですが……いっそのこと一回二軍に落として再調整って考えはなかったんでしょうか。素人考えなので、深い理由があったのかと思います。コーチも一新されるようなので、優秀なコーチが来てくれることを期待。ちなみに来年は内川と村田が国内移籍のFA権を取得するので、吉村の成長して2年後の4番を打てるようになっていないと困ります。

残りの選手は…

  • 2番セカンド(場合によってはショート)藤田はいいと思います。欲を言えば、盗塁数が増えたらもっといい。
  • 3、4番は固定。ケガをしないように体調管理し、ベストパフォーマンスを出してくれればOK。
  • 5番は新外国人選手(内野手たぶんファースト)と佐伯を競わせるいつものパターンかと。もし、高森が定着したら面白い。
  • 7番は石川か金城。下園がブレイクして定着する可能性も。
  • 8番は武山か、細山田。監督によって変わるかもしれませんが、打撃面でも成長が見られた武山でいって欲しい。あと、FA宣言することが濃厚なロッテの橋本将を獲得するかもしれないという話もあります。(野口の二の舞になりそうだが…)

2010年開幕時のスタメン(仮想)

  1. 二 石川
  2. 遊 藤田
  3. 左 内川
  4. 三 村田
  5. 一 新外国人
  6. 右 吉村
  7. 中 金城
  8. 捕 武山

仮想というより理想です。実際は石川は下位で使われて、1番金城だと思います。
まー、新監督の方針やケガなど不確定な要素が多すぎるので、来春のキャンプの時にはどうなってるかわかりません。あくまで現時点での予想。

で、この打線を立て直す方法ですが、上で書いたふたりのキーマンの奮起が必要。石川の危機感をあおる意味でも走れるリードオフマンタイプの選手を獲得するのも良いかと。
外国人の助っ人は、長打力よりも確実性重視の左打者を獲って欲しい。長打力がなくても狭い横浜スタジアムなら十分ホームラン打てますし。

まとめ

ここまで弱くなってしまった一番の責任は、もちろんフロントにあります。ドラフト戦略、育成、監督の選び方、すべてで失敗してるからこのような結果になっています。
その点、今年からフロントも一新されたため、多少は期待できそうです。(できなくてもするしかない、とも言える)
上でも書きましたが、このチームの一番の補強ポイントは、監督、コーチ、スカウトですね。他球団よりもゆるいと評判の練習方法など根本から改善しないと、強いチームにはなれないと思います。他のチームでは当たり前にできていることが、できていないとよく聞きます。ただでさえ弱いのに練習量で負けていたら差が開くばかりです。
そもそも、去年から今年は歴史的大敗をしたのに続投になった大矢監督、杉元投手コーチ(前年の最下位球団のソフトバンクから移籍)、駒田打撃コーチ(初期で弱かった楽天で打撃コーチ)という時点で、この今シーズンの結果は見えていたような気がします。

フロントは、とりあえず早く監督を決めてください。と言いたい。そうじゃないと、来シーズンの戦略も何も立てられませんから。